前回に引き続き、『ダイレクトブランディング』に関するテーマの話をしたいと思います。
前回、中小規模の事業者は、いわゆる大企業のブランド戦略をそのまま真似しても、途方もない広告宣伝費等のマーケティングコストを費やしたとしても売上や利益に結び付くことはないという話をさせていただきました。
ダイレクトブランディング〜あなたのブランド認識とブランド戦略は間違っている
それでは、今回は中小規模の事業者がとるべき『ブランド戦略』についてその詳細についてお話したいと思います。
ダイレクトレスポンスは従来のマーケティング活動とここが違う!
『ダイレクトブランディング』の中核をなす『ダイレクトレスポンス』というのは、従来のマーケティング活動とどのように異なるのでしょうか!?
マーケティング活動のその一環である『広告』は、ブランドの認知を主な目的で作られています。
ブランドの紹介や、すでに確立したブランドの強化が目的となっています。
一方では、『ダン・ケネディー』氏の著書である『ダイレクトブランディング』の言葉を借りるならば、『ブランドを構築してから売るのではなく、売ることを通してブランドを構築する。』ということです。
『ダイレクトレスポンス』の手法は、よく知れらたブランドを持つ会社のブランド戦略を真似するものではありません。
ブランド構築が売るための必須条件ではないのです。
ダイレクトレスポンスのブランド構築方法とは!
ダイレクトレスポンスのブランド構築の原点は、獲得した顧客に帰属意識を持ってもらうことです。
ダイレクトレスポンスでは、新規に獲得した顧客はもちろん、そのビジネスのブランド力に惹かれて顧客になったのではありません。
しかし、ひとたび顧客が上得意客に変わっていく過程であなたのビジネスのブランド力は上がっていくのです。
ダイレクトマーケティングに限らず、ビジネスでもっとも大事なものは『顧客リスト』です。
それは、日本の古い商いでも大切にされていた『大福帳』を見れば明らかでしょう。
ダイレクトレスポンスでは、ターゲットとなる人の『人口統計学的属性』(デモグラフィック)グループに合わせてメッセージに変化を持たせます。
優れたダイレクトレスポンス広告は、適切な顧客(ターゲット顧客)の心に強い共感を呼び起こし、間違った顧客(ターゲットではない顧客)には拒絶されるべきだと『ダン・ケネディー』氏は主張します。
従来のマスメディアを使ったブランド戦略のように『誰からも好かれるブランド』である必要はないのです。
つまり、熱烈なターゲット顧客だけに熱狂的に支持されればいいのです。
そして、そうした熱狂的な顧客グループがあなたのビジネスに帰属意識を持ってもらえれば、それが口コミとなってあなたのブランドは拡散していくのです。
フロントエンドとバックエンドのマーケティングとは!
ダイレクトレスポンスでは、『フロントエンド』と『バックエンド』ではブランド戦略におけるマーケティングの手法が異なります。
ダイレクトレスポンスでいう、『フロントエンド』と『バックエンド』とは何か簡単に説明します。
フロントエンド:初めて顧客になるとき、最初の取引につながるもの。
バックエンド:その後、継続的な関係を通して収益が発生するもの。
フロントエンドのマーケティングは、外部的なものです。
特定の約束や要求、販売促進の提供など対応の緊急性を重視します。
ダイレクトレスポンスがそのマーケティングの中心となってきます。
バックエンドのマーケティングは、内部的なものです。
より広い社会的証明や顧客グループのコミュニティーの活動に関わるものになってきます。
ブランド志向の強いマーケティングになってきます。
受け取り手が違えば、タイミングやメッセージも違ったやり方が表現できるし、そうすべきであります。
マスメディアなど公共のメディアを使ってメッセージを送り込むこともできますが、あなたの自身のメディア(ブログやメールマガジン)を使えば、あなたの顧客に合うように調整されたメッセージだけを伝えることができるでしょう。
ビジネスの提供品と本当のビジネス(価値)とは違う!
ダイレクトマーケティングのブランド戦略は、顧客の帰属意識がブランド価値を生むため、顧客を獲得して初めて成り立つものです。
そのため、あなたの提供するビジネスが、ターゲット顧客に何をもたらすものであるのかはっきりと定義されている必要があります。
『ダン・ケネディー』氏は、それを『ビジネスの提供品と価値を生み出す本当のビジネス』という区分を使って定義しています。
『スターバックス』を例にあげて次のように説明しています。
【ビジネスの提供品】 コーヒー
【本当のビジネス】 サードプレイス(家庭でも職場でない第3の場所)の提供
あなたのビジネスはターゲット顧客にどんな変革をもたらすものでしょうか!?
あなたのビジネスが熱狂的な顧客の支持を集め、顧客数が拡大すれば、ブランド力が向上することになります。
そして、獲得した顧客をつなぎとめるのに今度はブランド力を強化する必要があります。
ただし、ブランド中心のマーケティングは投資対効果が見えずらく、ダイレクトレスポンスのような高い収益率は望めません。
それでも、ある程度の顧客数を獲得したら避けて通れない道になるでしょう。
それを『ダン・ケネディー』氏は、次のように表現しています。
『ブランド中心のマーケティングは、一定の売上と利益があって初めて手の届くぜいたくなもの。』
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