マーケティングや広告の分野で有効な『ストーリーテリング(物語りを語る)』の構成要素には以下の7つがあるというお話をさせていただきました。
- 何らかの目的を持つ『主人公』
- それを達成する前に出くわす『問題』
- 主人公が絶望の淵に立たされたときに現れる『導き手』
- 導き手が示す『計画』
- そして導き手が促す『行動』
- 主人公が行動したことによって味わう『失敗』
- そして失敗を回避して最後に勝ち取る『成功』
今回は最初の構成要素の『主人公』について詳しくお話していきたいと思います。
物語りの主人公は消費者である!それは、あなたではありません!
ストーリーブランド戦略において、主人公になりうるのはいったい誰でしょうか!?
それは、『消費者』です。商品やサービスを売るあなたではありません。
『ドナルド・ミラー』氏は、その著書『ストーリーブランド戦略』で『ストーリーブランド戦略』の構成要素のひとつである『主人公』について次のように説明しています。
『物語りは、何かを望んでいる主人公がいて初めて始まる。』
『主人公が何を望んでいるか知るまでは、聴衆は興味を示さない。』
企業にとって重要なのは、消費者(主人公)が欲するものを定義することにあると言います。
『この会社は本当に望みを叶えてくれるだろうか』と消費者は気にしているものです。
ともすると、あなたは商品やサービスを売ろうとするあまり、商品やサービスのメリットを語りたくなるかも知れませんが、消費者は自分以外のものが『主人公』である物語りを聴きたいとは思いません。
消費者が主人公であるストーリーを語りましょう!
物語りは消費者が求めているものを定義することから始まる!
物語りの主人公は『消費者』であるということを理解したら、主人公は何を求めているかを明確にする必要があります。
『ドナルド・ミラー』氏は、『企業が消費者の望むものを定義し損なうと、物語りに適切な「空白」が生まれない。』と説明しています。
【物語りの空白とは】
主人公と主人公が望むものとの間のずれ(ギャップ)を意味します。
主人公が望むものを簡単に手に入れることができない(空白がある)ので、聴衆は物語りにはらはらしたり夢中になるのです。
主人公が完全無敵でどんな敵でもあっさりなぎ倒したりすると聴衆の心をつなぎとめることは難しくなるでしょう。
そもそも、主人公が求めているものがはっきりしないのでは、聴衆は物語りを読んでも混乱するだけでしょう。
しかし、企業が物語りを語るときに、こんな簡単な過ちを犯してしまいます。
消費者が求めているものは何か!?ひとつに絞り込む!
消費者が望むものを定義するときに、多くの企業が起こす間違いは、その願望をひとつに絞り込めないということです。
商品やサービスに様々な価値があると思われる場合も、主人公が最も望むことの印象が薄くなるので、たくさん願望を詰め込まないようにした方がいいでしょう。
あまり願望を詰め込みすぎると、物語りの聞き手は混乱し、そのストーリーに興味を示さなくなります。
物語りのテーマは消費者の『存続』に関わるテーマにする!
そして、もうひとつ企業が物語りのテーマ(主人公の願望)を設定する際に犯しやすい間違いは消費者の存続に関係ないことを消費者の願望として定義することです。
『ドナルド・ミラー』氏は、『存続(サバイバル)』を次のように定義しています。
【存続(サバイバル)とは】
安全、健康、幸福でありたい、強くなりたいという人間の根源的な欲求を示す。
金銭的な欲求、時間の節約、社会的なつながりや社会的な地位(ステイタス)を確保したいという欲求です。
つまり、消費者は『存続に関わるような欲求』以外の願望を物語りのテーマに据えても、それほど興味を示さないということです。
たいていの人は、今自分に生存に関わるような事態が起きている時に、他のことを考えているようなことはないでしょう。
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