定期保険と終身保険 どちらがお得? そもそも両者の違いは何!?

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「保険の種類は3つだけ」という記事で、多くの方が加入しているタイプの生命保険商品への誤解についてふれましたが、今回の記事で、その誤解を解くためのて説明をしていきたいと思います。

その前に、「多くの方が加入している生命保険商品のタイプとはどのようなものか」、そして、どのような誤解があるのか、簡単におさらいしてみましょう。

多くの方が加入しているタイプの生命保険とは、「働き盛りのときには手厚い保障、それ以降は葬式代だけ出ればいい」という内容の保険でした。
例えば、30歳で加入して、60歳まで保険料を払い込み、60歳までに亡くなると、3,000万円の死亡保険金が、60歳を越えて亡くなると、300万円の死亡保険金が支払われるというものです。

一方、このタイプの生命保険商品についての誤解(不満)とは、
「3,000万円の生命保険に加入していたけど、60歳を過ぎて亡くなったので、300万円しかもらえなかった。」とか、
「3,000万円の生命保険に加入していたけど、60歳で解約したら、解約返戻金を200万円しかもらえなかった」などです。

それでは、このタイプの生命保険商品についての誤解をとくために、このタイプの生命保険商品の「保険金と保険料の関係について詳しくみていきたいと思います。
このしくみが理解できれば、上記のような誤解はきっと解けるはずです。

「保険金」と「保険料」の関係について

このタイプの保険は、1階の「終身保険」と2階の「定期保険」の組み合わせで成り立っているということを前回の「保険の種類は3つだけ」という記事で説明させていただきました。

「終身保険」の部分はどのようになっているのか
まずは、1階の「終身保険」の方から見ていきましょう。
いずれも、30歳加入、60歳保険払込完了の男性のケースで試算しています。(2018年8月時点のかんぽ生命の場合)
死亡保険金300万円の「終身保険」の月額保険料は、8,520円です。
保険料払込期間は、30年間ですので、保険料払込総額は、3,067,200円ということになります。
8,520円 × 12ヵ月 × 30年 = 3,067,200円
300万円の死亡保険金をもらうのに、およそ300万円の保険料の払込が必要であることをおぼえておいてください。

「定期保険」の部分はどのようになっているのか
それでは、2階部分の「定期保険」の方はどうでしょうか。
(かんぽ生命の「定期保険」の保障期間は10年間ですので、30歳から60歳までの30年間を10年間ごとに区切って試算してみます。)
(また、かんぽ生命の被保険者ひとりあたりの加入限度額は、1,000万円までなので、仮に2,700万円の定期保険に加入できたとした場合で、試算しています。以下同様に考えてください。)
30歳から40歳までの10年間の月額保険料は、7,830円です。
同期間の保険料払込総額は、939,600円となります。
7,830円 × 12ヵ月 × 30年 = 939,600円

同様に、40歳から50歳までの10年間の月額保険料は、10,260円です。
同期間の保険料払込総額は、1,231,200円となります。
10,260円 × 12ヵ月 × 30年 = 1,231,200円

同様に、50歳から60歳までの10年間の月額保険料は、16,740円です。
同期間の保険料払込総額は、2,008,800円となります。
16,740円 × 12ヵ月 × 30年 = 2,008,800円

「終身保険」と「定期保険」の比較
この数字を見てどのように感じましたか?
同じ300万円の「死亡保険金」を受け取るのに、「終身保険」だと、毎月8,520円支払わなければならないのに、「定期保険」の場合は、毎月の保険料は、わずか870円です。(2,700万円で、7,830円ですので、300万円の場合は、7,830円 ÷ 9 = 870円になります。)
「定期保険」の場合は、保険料が、「終身保険」に比べて10分の1ほどです。
万が一、被保険者が定期保険の保障期間中に亡くなると、保険会社は300万円支払わなければならないのに対して、そうでなかった場合は、保険料はまるまる契約者には戻ってきません。
保険会社からみると、ある意味「賭け」のような気がしますが、保険会社は、「大数の法則」という、科学的・合理的に管理された原則に基づいて保険料を算出しています。
(大数の法則とは、少ないサンプルでは法則が分からなくても、たくさんのサンプルを集めることで一定の法則が判明するというものです。これは人の死亡率についても適用できるため死亡率を年齢別・男女別などにまとめた「生命表」を作成して保険料を算出しています。)
つまり、生命保険は大勢の保険契約者が保険料を負担し、それを財源として、誰かが死亡したときや病気になったときに、保険金や給付金を受け取ることができる「助け合い」「相互扶助」の仕組みによって成り立っていると言えます。

もうひとつ目を引く数字は、「定期保険」の年齢ごとの保険料の違いです。
同じ2,700万円という死亡保険金で、同じ10年間という保障期間なのに、30歳で7,830円、40歳で10,260円、50歳では、16,740円とずいぶんと違いますね。
これは、前述した年齢別・男女別の死亡率と大きく関わってきます。
女性の方が長生きですし、年齢を重ねるごとに亡くなる確率は高くなるからです。
よく「生命保険は若いうちに加入しておいた方が良い」というのも、保険料をみれば明らかです。

保険料払込総額でみましょう

「終身保険」と「定期保険」の違いを総括してみましょう。

「終身保険」の保険料払込総額は、3,067,200円でした。
一方、「定期保険」の保険料払込総額は、4,179,600円で、合計7,246,800円となります。
(定期保険は、30歳から40歳までは、939,600円、40歳から50歳までは、1,231,200円、50歳から60歳までは、2,008,800円の合計)

参考までに、1ヵ月の保険料は、30歳から40歳までは、16,350円(終身保険部分 8,520円と定期保険部分 7,830円の合計)
40歳から50歳までは、18,780円(終身保険部分 8,520円と定期保険部分 10,260円の合計)
50歳から60歳までは、25,260円(終身保険部分 8,520円と定期保険部分 16,740円の合計)
となります。
どうですが、このぐらいの保険料なら、払えそうな気がしませんか。

ところが、これが、「定期保険」部分を使わずに、3,000万円の「終身保険」だけでまかなったとしたらどうでしょうか。
死亡保険金3,000万円の「終身保険」の月額保険料は、85,200円です。
保険料払込期間は、30年間ですので、保険料払込総額は、30,672,000円ということになります。
85,200円 × 12ヵ月 × 30年 = 30,672,000円
毎月、85,200円の保険料を支払えるひとはそうそういないと思います。

それでは、ひとつめの「3,000万円の生命保険に加入していたけど、60歳を過ぎて亡くなったので、300万円しかもらえなかった。」という誤解はとけましたでしょうか。
確かに、3,000万円の「死亡保険金」という保障内容でしたが、支払った金額は、7,246,800円です。
7,246,800円の保険料で、60歳までに亡くなれば、30,000,0000円の死亡保険金がもらえ、22,753,200円の得です。
60歳過ぎてから亡くなったら、300万円しかもらえず、4,246,800円の損です。
得する金額は、22,753,200円に対して、損する金額は、4,246,800円です。
生命保険の保険料を「掛け金」とも言いますが、「賭け金」と言えなくもないです。
しかし、生命保険は大勢の保険契約者が保険料を負担し、それを財源として、誰かが死亡したときや病気になったときに、保険金や給付金を受け取ることができる「助け合い」「相互扶助」というの「崇高」で「美しい」仕組みの上で成り立っているので、例え、60歳過ぎてなくなって損をしたとしても、長くいきられなかった誰かの支えとなっていると感じれば決して損ではないですし、無事に60歳を迎えられたと喜ぶべきではないでしょうか。
そして、30年間家族が安心して暮らせたというのが最大のメリットではないでしょうか。

解約返戻金はどうでしょうか

それでは、もうひとつの誤解の方に目を向けてみましょう。
「3,000万円の生命保険に加入していたけど、60歳で解約したら、解約返戻金を200万円しかもらえなかった。」の不満の方です。

保険を保障期間中に解約した場合に受け取れる「解約返戻金」についてみていきましょう。

「終身保険」の場合、60歳で解約した場合の解約返戻率は、89.5%で、解約返戻額は、2,748,000円です。
払込保険料総額 3,067,200円 × 89.5% = 2,748,000円

一方、「定期保険」の解約返戻金は、わずかな金額は支払われますが、ほとんどないと考えて良いと思います。
上記の200万円しかもらえなかったというケースは、60歳よりも前に中途解約した場合と思われますが、「定期保険」の保険料は、ほぼ全額が掛け捨てですので、支払った保険料からみてもやむを得ない話でしょう。

ところが、3,000万円の「終身保険」に加入していたひとの場合はどうでしょうか。
60歳で解約した場合の解約返戻率は、89.5%ですので、解約返戻金は、27,480,000円にもなります。
(かんぽ生命の加入限度額は、被保険者ひとりあたり1,000万円までですので、借りに3,000万円加入できたとして試算しています。)

つまり、3,000万円の終身保険に加入しているひとは、途中解約しても、およそ9割の保険料が戻ってくる上に、30年間にわたって3,000万円のお守りが付いていたということになります。
つくづくお金があるひとは、とことん損をしないようにできているように思えます。

結論からいうと、お金があるなら、「終身保険」が断然有利です。
しかし、そうそう高額な保険料を支払うことは大変ですから、現実的には、「定期保険」を組み合わせた「多くの方が加入している生命保険商品」のタイプということになるのでしょうね。

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