マーケティングや広告の分野で有効な『ストーリーテリング(物語りを語る)』の構成要素には以下の7つがあるというお話をさせていただきました。
- 何らかの目的を持つ『主人公』
- それを達成する前に出くわす『問題』
- 主人公が絶望の淵に立たされたときに現れる『導き手』
- 導き手が示す『計画』
- そして導き手が促す『行動』
- 主人公が行動したことによって味わう『失敗』
- そして失敗を回避して最後に勝ち取る『成功』
このシリーズの最終回では、物語りの聞き手の心を引きつける主人公の結末についてお話したいと思います。
物語りは、主人公の悲惨な結末(失敗)、ハッピーエンド(成功)のどちらの結末が待っているのでしょうか!?
物語りの聞き手は主人公の結末がどうなるのか興味をかき立てられる!
物語りの結末が聞き手(消費者)の行動にどう影響していくのかという点について、『ドナルド・ミラー』氏は、その著書『ストーリーブランド戦略』で次のように説明しています。
『物語りの作り手は、物語り全体を通して成功する結末と悲しい結末があるとほのめかす。』
『物語りでは、主人公が苦しみを避けたいという欲求により問題の解決策を探るようになる。』
ときには、物語りはハッピーエンドで終わらない場合があります。
また、主人公にとって望ましい結末が待っていたとしても、その過程で悲しい結末を暗示するような場面がいくつかでてくるケースがあります。
物語りでは、なぜ悲しい結末を暗示するような場面が出てくるのでしょうか!?
物語りの作りては意図して主人公が問題を解決しないとどんな恐ろしいことが降りかかるのか、観客に知らせます。
危険のない物語りは物語りではないからです。
それでは、物語りが聞き手に恐ろしい結末を暗示させる意味を見ていきましょう。
商品を買わないとどうなるのか消費者に伝える!~回避したい失敗とは!?
物語りの悲しい結末の暗示は、ストーリーブランド戦略では、『商品を買わないとどうなるか』という警告を消費者に伝える行為にあたります。
商品を買わないとどうなるかという警告を消費者に伝えないと、消費者に関心を持ってもらうことは難しいでしょう。
でも、そのような行為は消費者を脅迫しているような感じがして気がひけるという人もいることだと思います。
そのことについては、『ドナルド・ミラー』氏の著書『ストーリーブランド戦略』では『プロスペクト理論』を引用して解説しています。
プロスペクト理論というのは、『ダニエル・カーネマン』氏が提唱した消費者の購入の意思決定に関する理論です。
『人は利益を得る選択よりも、損失を回避する選択をする傾向がある』というものです。
購入の意思決定において、損失回避は潜在的利益よりも強い動機となるのです。
ただ、消費者に物語りを語るときに、やたらと不安を煽ることは逆に消費者の反感を買うことになるので注意が必要です。
商品を買うとどのような未来が待っているか消費者に伝える!~成功の結末とは!?
優れた物語り(広告)は、商品やサービスを購入するとどのような未来が待っているのかを聞き手(消費者)にはっきりと描いてみせています。
『ドナルド・ミラー』氏は、物語りの結末についてこうあるべきだと説いています。
『結末はわかりやすく、具体的でなければならない。』
『特定の人に特定のことが起こらなければならない。』
『使用前と使用後で消費者の生活がどう変わるのか伝える。』
そして、物語りの結末には次の3種類があると言っています。
1.何らかの力や地位を獲得する(社会的地位の確立)
商品やサービスによって消費者が周囲から高い評価を受け、尊敬されるようになる。
希少性(限定商品)、ゴールド会員(特別扱い、優待)、ブランド(ステータス)
2.誰か、または何かと一体化することによって完全になる
物語りでは結婚というゴールインで終わるケースがありますが、それよりも重要な感情的な欲求が解消されているという状態になる。ストレスを軽減しイライラから解放され完全になった満足感を感じる。
3.何らかの自己実現を通じて完全になる(潜在能力の発揮)
目標の達成により、ありのままの自分を受け入れることによって、人が心からの安らぎを取り戻す。
普遍的な自己受容の欲求が解消される。
主人公の問題を解決することで、物語りの輪を閉じることになります。
商品やサービスを利用するとどれだけ人生が豊かになるのかを消費者に示しましょう!!
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