本人確認はなぜ必要? 犯罪とは関係ないのにいちいち面倒だと思っているひとに

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郵便局に限らず、金融機関に行くと、本人確認書類の提示を求められることがたびたびあるのではないでしょうか。
最近では、本人確認に加えて、「取引目的」の確認もなされるようになりました。
さらに、本人確認書類に、「顔写真つきの」という要件が加わり、金融機関での手続きは煩わしいと感じる人も多いのではないでしょうか。
ですが、本人確認の意味や、その運用方法を知れば、その煩わしさも軽減され、マネー・ロンダリングや振込め詐欺の防止に一役かっているという気持ちもめばえてくると思います。

本人確認はなぜ必要?

本人確認の法的な根拠は、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」という名の法律にあります。
この法律の目的は、名前のとおり、犯罪による収益をマネー・ロンダリングなどによって、その出処をわかりにくするのを防ぎ、犯罪の資金源を断つことによって、社会から犯罪をなくすためのものです。
マネー・ロンダリングは、国境を越えて行われます。
マネー・ロンダリングへの牽制効果がはたらいていない金融機関がひとつでもあると、犯罪組織はそこをついて資金の浄化を行います。
世界各国の金融機関が連携して、マネー・ロンダリングを防止する必要があるのです。
国際組織(FATF:Financial Action Task Force)「金融活動作業部会」がその有効性を定期的にチェックしています。

どのようなときに本人確認が必要なのか?

どのようなときに本人確認が必要なのかを知っておくと、郵便局の窓口で、「本人確認書類をもってきていない」とかめんどうなことにならないと思います。

<本人確認が必要なケース>

  1. 口座開設時
  2. 高額(200万円超)な入出金
  3. 10万円を超える送金

口座開設時に、本人確認をするのは、「振リ込め詐欺」や「マネー・ロンダリング」に使われる口座を開設するのを防ぐためです。
そもそも、「本人確認」の意味は、その人が本当に実在する人物なのかを確認するとともに、請求をする人が、その人自身なのかを確認することです。
「200万円の入出金」に比べて、「10万円の送金」という取引は、いちいち本人確認をされると煩わしいと思うかも知れません。
日常的に、10万円を超える送金というのは、そう珍しいことではないと思います。

例えば、大学の入学金・授業料の支払い、自動車学校の講習料、自動車の購入代金、生命保険の保険料支払いなど、いろいろあると思います。
(大学の入学金・授業料の支払いは、本人確認が緩和されています)
(国や地方公共団体への各種税金・料金の納付には本人確認が不要です)

日本で生活していると10万円の送金というのは、高額な送金とは感じないかも知れませんが、マネー・ロンダリングには、国境はなく、世界各国の金融機関が協力して対応していかなければならない課題です。
世界的にみれば、10万円という金額は高額で、この10万円というのは世界基準からみた高額な取引に該当するのです。

確認方法が強化

2016年10月の法改正で、本人確認の方法が強化されました。
原則として、本人確認書類には、顔写真つきのものが求められるようになりました。
顔写真のない書類の場合は、2種類の書類を用意する必要があります。
顔写真のある本人確認書類というと下記のものがあげられます。

  1. 運転免許証または、運転経歴証明書
  2. パスポート
  3. マイナンバー・カード

高齢ドライバーによる交通事故が社会問題となり、運転免許証を自主返納する人が増えていますが、顔写真つきの本人確認書類を同時に失うことになりますので、ぜひ、「運転経歴証明書」をもらっておいてください。
運転免許証(運転経歴証明書)もパスポートもない人は、「マイナンバー・カード」をつくっておくと便利です。
「マイナンバー通知カード」には、顔写真もありませんし、本人確認書類にもなりませんので、ご注意ください。
どうしても、顔写真つきの証明書がない場合は、「健康保険証」、「年金手帳」、「母子手帳」などの書類を2点用意してください。

取引目的の確認が追加

2013年4月の法改正(「犯罪による収益の移転防止に関する法律」)で、本人確認にくわえて、取引の目的や職業も確認するように義務づけられました。
「取引の目的」とは、例えば、「口座開設」の場合には、「生計費決済」や「貯蓄」、「給与や年金の受け取り」などが考えられます。
なぜ、取引の目的を確認するのかというと、開設する口座が、「マネー・ロンダリング」や「振込め詐欺」などの反社会的行為として使われないようにするためです。

郵便局でも「総合口座」を開設するときに、「総合口座利用申込書」に、反社会的勢力でないことを表明・確約し、「確認印」を押印する欄があります。
暴力団関係者が、一般の人を装って、口座を開設することができそうですが、この確約には、法的拘束力があります。
万一、暴力団関係者が、偽って自分は反社会的勢力ではないと確約して、口座を開設したとしても、後に虚偽の申告が判明した場合には、金融機関は、その口座の取り扱いを停止したり、全部払い戻しを請求することが認められています。

このように、本人確認の目的を理解し、どのような場合に本人確認が必要なのかがわかれば、手続き上の煩わしさは少しは軽減されるのではないでしょうか。

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