『ダイレクトブランディング』
ダン・ケネディー著
ダイレクト出版
あなたは、『ブランド戦略』と聞いて何を思い浮かべますか!?
おそらく、大企業のイメージ広告に象徴されるようなマスメディアを使ったブランド戦略ではないでしょうか!?
それでは、中小規模の事業者にとって『ブランド戦略』は意味のないものなのでしょうか?
いいえ、中小規模の事業者にとってもブランド戦略は意味があります。ただ、大企業と同じようなブランド戦略を取ろうとしても膨大なマーケティングコストがかかるばかりで売上や利益の拡大はのぞめないでしょう。
中小規模の事業者にとっても実行可能なブランド戦略はあります。それが『ダイレクトブランディング』です。
既存顧客の帰属意識に働きかけるブランド戦略
『ダイレクトブランディング』の発想は、新規顧客を獲得し、顧客の帰属意識を高めることによってブランド構築を図っていきます。
ブランドの認知を高めて売り上げを拡大しようという発想とは正反対のものです。
売上の後にブランド力がついてくるというものです。
幸い、現代の商取引に必ずしも『マスメディア』の力を必要としていません。
すでに私たちには、独自のメディアが存在します。
それが、『ブログ』であったり『メールマガジン』です。
また、動画や電子書籍などのメディアは誰でも簡単に作れるようになりました。
私たちが目指すのは、『マスメディア』を使った大衆の支持を仰ぐのではなく、『ターゲット顧客』に的を絞った熱烈なファンの獲得なのです。
『心のチキンスープ』も最初は144社の出版社から断られた!
この『ダイレクトブランディング』の巻末には、著者の『ダン・ケネディー』氏と、大ベストセラー本の『心のチキンスープ』の著者のひとりである『マーク・ビクター・ハンセン』氏の対談があります。
『心のチキンスープ』はシリーズで5億冊を売り上げたというギネス級のセールス記録を打ち立てた大ベストセラーです。
そのうちの3億冊は中国で売れたそうです。
私も『心のチキンスープ』第一弾を読んで感銘を受け、その後シリーズのほとんどを読みました。
出典:アマゾン
この本が大変売れているという話を聞いて、こんなに素晴らしい本は口コミでどんどん広がっていったんだろうなと思いました。
ところが、著者の『マーク・ビクター・ハンセン』氏によると最初に出版しようと出版社に働きかけたところ144社もの出版社に断られたと言います。
最後に出版の契約を取り付けたところにも、1冊6ドルで2万部の買い取り条件を付けられたそうです。
そのため、『マーク・ビクター・ハンセン』氏は自分でこの本の売り込みをしたということです。
全国の独立系のブックセラーのオーナーに個人的に電話で依頼をしたり、大学での巡回講演も精力的に行ったようです。
対談者の『ダン・ケネディー』は、大学での講演の話を聞いて、『お金を出さずにブランドのプロモーションができてよかった。』ではないかと語っていました。『広告料を支払うどころか代わりに講演料ももらえたのだから。』と続けていました。
そうです。『マーク・ビクター・ハンセン』は広告費を負担することなく、『心のチキンスープ』というブランドを構築していったのです。
まさに、本を売ることによってブランドを築きあげたのです。
『心のチキンスープ』の例は『ダイレクトブランディング』には直接当てはまらないかも知れませんが、壮大な野望が賛同者を巻き込んでひとつのビジネスを作り上げていくという点では共通するものがあるのではないでしょうか!?
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