行動科学マーケティング:経済的合理性だけでは説明できない消費者の購買行動

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膨大な広告宣伝費を費やしても、その投資に見合った効果が思うように出ない場合もあります。

消費者の購買行動は経済的原則では割り切れないところがあるからです。

消費者の購買行動を深く理解するには、『行動科学マーケティング』の力を借りなければなりません。

では、どのようにして、消費者の購買行動を予測することができるのでしょうか!?

消費者の購買行動を決定づける心理的メカニズム!

消費者の購買行動を詳しく分析した書籍があります。

『ジェイムズ・A・ムレイ』氏の著書『行動科学マーケティング』です。

『行動科学マーケティング』の書籍レビューはこちらから

『ジェイムズ・A・ムレイ』氏は、消費者の購買行動を決定づける様々な心理的なメガニズムをその著書『行動科学マーケティング』で詳しく解説しています。

ただ、その解説にはいろいろなマーケティング用語が出てくるので、一通りおさえていた方がそのメガニズムの理解も深まると思いますので、以下の記事を参考にしてください。

行動科学マーケティングを基礎から学ぶ!

それでは、消費者の購買行動を決定づける様々な心理的メカニズムを順を追って見ていきましょう。

消費者が自ら行動を律する『認知的不協和』という心理的メカニズム!

最初の心理的メカニズムは、『認知的不協和』というものです。

これは、アメリカの心理学者『レオン・フェスティンガー』氏によって提唱されたものですが、名称は複雑そうですが誰の頭の中でも起こる葛藤です。

認知的不協和というのは、人間の態度と行動が整合せず不快感を抱くときに、その不安感を解消しようと態度を行動に合わせたり、行動を態度に合わせたりすることです。

これは、消費者が高価な買い物をしたときに起こるものです。

消費者は大きな買い物をしたときに『はたして、こんな効果な買い物をしたことは正しい選択だったのだろうか』と不安に思うことがあるでしょう。

そんなときには、消費者は自分の選択は正しかったと思うことで、その不安を解消しようとするのです。

あなたも、よく高価な買い物をした後で、その商品の評価が気になり、広告などの情報を集めていませんか?

そのため、企業は消費者の不安を取り除くために、『お客さまの声』などを各種メディアに掲載したり、ブランドイメージを高めるための広告を打ち出しているのです。

企業が好感度の高いタレントを起用する『バランス理論』という心理的メカニズム!

『認知的不協和』と同じように消費者心理をついた企業のマーケティング戦略があります。

それは、『バランス』理論というものです。

これは、アメリカの心理学者である『フリッツ・ハイダー』氏によって提唱されたものです。

本来は、対人関係において三者以上の存在があるときに、その三者の間の認知関係のバランスを保とうとする人間の心理状態を表す心理学的用語でした。

これをマーケティング戦略に応用すると消費者の頭の中で次のようなメカニズムが生まれます。

あなたは、まだ自分では試したことのない商品があったとします。

その商品をあなたが好きなタレントが『とっても良い!』と勧めれば、あなたはその商品がどのようなものかわからなくても、きっと良いものだと感じることでしょう。

そのため、企業がCMを流すときには、なるべく好感度の高いタレントを起用するのです。

随分前の話ですが、『ビートたけし』さんが漫才ブームの頃『イッセイミヤケ』の服を着ていたのですが、本人から『服を着ないでくれ』と言われたことを漫才のネタにしていましたが、これもバランス理論の逆パターンだと思います。

あなたも、自分が嫌いなタレントが勧めている商品を、なんとなく毛嫌いするのではないでしょうか。

企業の広告にも多用されている『プライミング効果』という心理的メカニズム!

次に、企業の広告にも多用されている『プライミング効果』について説明します。

プライミング効果というのは、事前に見聞きしたことがその後の判断や行動に影響を与えるという効果です。

このプライミング効果を説明するときによく引き合いに出されるのが『コカ・コーラとサンタクロース』の話です。

1930年代にコカ・コーラが打ち出したクリスマスキャンペーンで、『赤いガウンに白ひげ』というイメージを定着させました。

赤と白はまさにコカ・コーラのロゴのイメージです。

そのため、クリスマスになると『赤と白』というイメージを消費者に植え付け、クリスマスの炭酸飲料といえばコカ・コーラという連想を消費者に起こしやすくしたのです。

コカ・コーラと言えば、『そもそもコカ・コーラに広告が必要なのか?』と疑問に思たったことはありません?

別に新商品でもないし、すでにトップシェアを堅持している誰もが知っている商品に莫大な予算を投じて広告を打つ必要があるのかと思いませんか?

それは、消費者が『一番に思いつくブランド』であり続けたいからです。

炭酸飲料と言えば、『ペプシ』ではなく『コーク』と消費者に答えてほしいからです。

消費者行動に現れる『スクリプト』と『スキーマ』!

消費者行動を決定づける心理的メカニズムを見てきましたが、ここまでは従来のマーケティングでもしばしば取り上げられてきたものです。

『ジェイムズ・A・ムレイ』氏は、著書『行動科学マーケティング』において最新のマーケティング手法を取り上げています。

それは、『スクリプト』と『スキーマ』という概念です。

スクリプトというのはもともと『台本』という意味で、『売り手と買い手の発言、対話のやりとり』を指します。

スキーマというのは、場面やコスチューム、商品の構成要素を指します。

マーケティング用語としては聞きなれない言葉であるため、本書に沿って事例を使って説明したいと思います。

スクリプトとスキーマを説明する上でわかりやすいのが『スターバックス』の例です。

スターバックスに入ると、店内のカウンターにいる『バリスタ』が『ようこそスターバックスへ!何になさいますか?』と尋ねてきます。

すると、客であるあなたは、『ペンティサイズのアイスコーヒーに糖質オフのバニラシロップとバナナをお願します』と答える。

(注文内容は本書の原文そのまま)

そして、バリスタは名前を尋ねるとカップの横に注文内容とあなたの名前をすばやく書き記します(アメリカの話です)。

これが、スターバックスでの『スクリプト』の一例です(私はこの儀式が嫌いでスターバックスにはあまり足を運びません)。

そして、スターバックスの『スキーマ』は、緑の『サイレーン(妖精)』のロゴとブラウン系の木製のテーブルやくつろいだ雰囲気のソファーなどの調度品でしょう。どこのスターバックスに行ってもひとめでスターバックスとわかる統一感です。

マーケティングの観点からこの『スクリプト』や『スキーマ』は統一していることが望ましいです。

なぜなら、『スクリプト』や『スキーマ』が確立されれば、消費者は無意識のうちに購買行動を繰り返すからです。

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