マーケティングや広告の分野で、顧客に商品を買ってもらうためには『ストーリーテリング(物語りを語る)』の手法が効果的だと言う話をしました。そして、ストーリーテリングがなぜ、これほど有効な戦略なのかという理由もお伝えしました。
ストーリーブランド戦略が読み手の注意を引くことに効果的であることがわかったところで、今回はどのようにストーリーを語ったらよいのかという話をしたいと思います。
ストーリーブランド戦略の構成要素とは何か?
『ドナルド・ミラー』氏は、その著書『ストーリーブランド戦略』で『ストーリーブランド戦略』の構成要素について説明しています。
『物語り』の構成要素は以下の7つです。
- 何らかの目的を持つ『主人公』
- それを達成する前に出くわす『問題』
- 主人公が絶望の淵に立たされたときに現れる『導き手』
- 導き手が示す『計画』
- そして導き手が促す『行動』
- 主人公が行動したことによって味わう『失敗』
- そして失敗を回避して最後に勝ち取る『成功』
この構成要素から離れていくと読み手の心は、あなたが語るストーリーから関心を引くのは難しくなります。
物語りが優れているかどうかを見極めるポイントは!?
『ドナルド・ミラー』氏は、物語りの構成要素を説明した後で、物語りが優れているかを確かめるための重要な質問を定義しています。
物語りがあなたの思惑通りに読み手の関心を引くことができるかは、次のポイントにかかっていると言っています。
- 主人公は何を求めているか?
- 主人公が望みを叶えるのを妨げているのは誰(何)か?
- 望みを叶えた(または望みが叶わなかった)場合、主人公はどうなるのか?
物語りの最初の部分で、これらの質問に答えられない(読み手が理解できない)場合は、その物語はその時点でTHE ENDです。
また、『ドナルド・ミラー』氏は、読み手に物語りの続きを読んでもらうために必要な要素として、『物語りに空白』を作るということをあげています。
空白とは、主人公と主人公が望むものとの間のずれを意味します。
この空白があると読み手は物語りに集中します。
この先、この空白が埋まるのかどうか、また、その空白はどのように埋まるのかと興味をかき立てたれるのです。
よくある物語の空白は、『弱小高校野球部』が『甲子園優勝』するというストーリーによく現れます。
ストーリーブランド戦略の構成要素の概要
『ドナルド・ミラー』氏は、物語りの構成要素を説明した後で、それらの構成要素についてさらに詳しく語っています。
まず、『主人公』についてですが、ここで重要なことは、物語りの主人公は『商品やサービス』ではなく(ましてや、あなた自身ではなく)『消費者』であるということです。
対象となる消費者を特定し(ターゲット顧客)、その消費者が商品やサービスに何を求めているかを考える必要があります。
物語りに消費者を招待し、商品やサービスに注目してもらうのです。
詳しくはこちらの記事を参照してください。↓
次に『問題』についてですが、多くの物語りに欠かせないのが問題です。
主人公が平和に暮らしていたのに突如として『大惨事』に見舞われるというのがよくあるシナリオですが、消費者の世界にも平和な生活を脅かす『問題』というものが生じることがあります。
消費者が商品やサービスに関心を持つというのは主人公が物語りの世界に引き込まれるのと同じ理由です。
消費者は問題を抱えており助けが必要なのです。
そこで、『導き手』の登場です。
物語りの主人公が自分で問題を解決できるのであれば、そもそもそれほど困難な問題ではないわけです。
だからこそ、昔から物語りの作り手は主人公を助ける別の登場人物を作り出してきたのです。
『ドナルド・ミラー』氏は、アメリカ人ですから、その説明に映画『スターウォーズ』を使っていましたが、あなたに馴染みの深い日本のアニメに譬えると次の作品がわかりやすいと思います。
アニメ『ドラゴンボール』では、主人公『孫悟空』に対して、その導き手は『亀仙人』ですし、アニメ『ハンターハンター』では、主人公『ゴンフリークス』と、ゴンに『念』を教えた『ウィング』といったところでしょう。
『導き手』は、あなた自身です。(あなたは主人公ではありません)
間違っても、もうひとりの主人公として登場することのないようにしましょう。
出典:https://animemiru.jp/articles/31758/
出典:https://comic-kingdom.jp/hunterhunter-wing/
導き手のあなたは、主人公である消費者が彼らの問題を解決する道筋を示す必要があります。
それが、『計画』です。
消費者(あなたではありません)に問題を解決してもらうための根本的な考え方や段階的な行動を示します。
そして、『行動』です。
ここで重要なのは、物語りでは主人公が自分から行動を起こすのではなく、行動を促されているという点です。
主人公が自分の意思で行動を起こすというような物語りでは聴衆の心を引きつけることはできないでしょう。
あなたは、消費者が具体的な行動を促すきっかけを用意する必要があるのです。
それでも、主人公にさらなる試練が待ち構えています。それは、『失敗』や『挫折』です。
何もかもうまく事が運んでしまっては物語りへの興味は失われるでしょう。
同様に、商品を購入するかどうかを決める際に、何のためらいもなければその商品を買う気にはならないでしょう。
つまり、消費者が商品やサービスを購入しない場合に何を失うのかはっきり示す必要があるのです。
最後に、物語りの結末『成功』です。
商品やサービスを購入した後、消費者にはどんな理想的な未来が待っているかを明らかにすることが重要です。
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