『Simplifyマーケットを支配する最強のビジネス戦略』書籍レビュー

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Simplifyマーケットを支配する最強のビジネス戦略

リチャード・コッチ 著

ダイレクト出版

『マクドナルド』の創始者は、当時他店では1個30セントで販売していたハンバーグの価格を徹底した生産システムの導入で1個15セントで販売した『マクドナルド兄弟』ではなく、業務用ミキサーの販売員だった『レイ・クロップ』とされているのはなぜでしょうか!?

マウスを使って画面上のアイコンで操作することでパソコンに処理をさせる方法を考えついたのは、アップル社でマッキントッシュを完成させたスティーブ・ジョブズではないとしたらどうでしょうか!?

この『Simplifyマーケットを支配する最強のビジネス戦略』という本は、ビジネスで成功した企業のその法則を見つけることから始まるのですが、上の2つの興味深い質問にまず答えています。

アイデアを創出する人とそれをビジネスにする人

マクドナルドの場合

それでは、まず冒頭の2つの質問に対する答えです。

『マクドナルド』のサン・バーナーディーノに第1号店を作ったのは、『マクドナルド兄弟』でした。

マクドナルド兄弟は、1948年にバーベキューレストランを改装して、流れ作業方式によるハンバーガーを提供するコーヒーショップを経営するようになりました。そのときにすでに、ハンバーガー(15セント)、チーズバーガー(19セント)、フライドポテト(10セント)、コーヒー(5セント)という今のメニューの原型が出来上がったといいます。

その合理的な経営に注目した当時シェイク用の業務用ミキサーの販売をしていた『レイ・クロップ』はマクドナルド兄弟と今後のビジネスの拡大についての話をする機会を得ました。

当時、マクドナルド兄弟は本店の他にカリフォルニアやアリゾナにも店舗展開をしていましたが、本店以外の店舗では思い思いの経営をしていました。中には、ハンバーガー以外にもピザを販売している店舗もあり、ハンバーガーも本店と同様の品質を維持していませんでした。

『レイ・クロップ』はマクドナルド兄弟のビジネス・モデルに大きな可能性を感じていたので、このビジネスをフランチャイズする気はないかと尋ねました。ところが、マクドナルド兄弟の返事はレイ・クロップの期待に反して、これ以上の成功は望んでいないというものでした。

それで、レイ・クロップはマクドナルド兄弟から、マクドナルドの全経営権を買い創始者となりました。

その後のフランチャイズ化と国際展開はみなさんのご存知の通り、例外を許さない徹底したビジネスモデルの浸透を図りました。

アップル社のMacの場合

マウスを使って画面上のアイコンで操作するあの画期的なパソコンのしくみは、アップル社のマッキントッシュ(愛称:Mac)が商業機としては最初のものだといえるでしょう。

ただ、そのコンセプトは開発者のスティーブ・ジョブスのものではありません。

あのマウスを使ったあの直感的な操作方法を開発したのは実はゼロックス社です。

スティーブ・ジョブスは、ゼロックス社の研究所であのマウスと画面上のアイコンを初めて見たときに『これだ!』とひらめいたようです。

その後、ゼロックス社の経営陣がこの画期的な研究にあまりビジネス上の価値を見出せなかったのとは対照的にスティーブ・ジョブスはこのパソコンの商業化に心血を注ぐのでした。

そして、マイクロソフト社がWindowsを開発し、マウスによる操作を可能にするOSでアップル社に追従するのですが、あのマウスによるパソコンの操作を可能にしたのはアップル社が最初だと誰もが思うようになったのです。

アップル社マッキントッシュ誕生秘話についてはこちらから

どちらのケースもアイデアを創出した人と、それをビジネス化した人とは別だということです。どちらが偉いとは一概には言えませんが、人々により大きな価値を提供したのは、そして、自らも莫大な利益を得たのは後者の人たちだということができます。

ビジネスを飛躍させる『シンプル化の法則』

この『Simplifyマーケットを支配する最強のビジネス戦略』という本のテーマは、最初にアイデアを発案した人とそれをビジネスに展開した人のどちらの功績が大きいかというものではありません。

この本のテーマはビジネスを大きく成功させるのには『シンプル化の法則』がカギであるということです。

シンプル化の『法則』というからには、『方法』と違って必ずその法則にのっとれば成功するというものです。

著者のリチャード・コッチによれば、シンプル化の法則には、2つの種類があって、『価格のシンプル化』と『プロポジションのシンプル化』に大別されます。

価格のシンプル化はわかりやすく、文字通り商品やサービスの価格を半減させ、その市場のシェアを独占する戦略です。その代表例として、『マクドナルド』やT型フォードの販売で自動車を大衆向けの商品にした『フォード』、家具小売店のスウェーデンの『イケア』をあげています。

日本では『イケア』と聞いてもピンとこない人も多いと思いますが、家具の最終組み立てを消費者に負担してもらうことによって大幅に輸送コストを削減し、商品の絞り込みを徹底的に行うことによってコストダウンに成功した企業です。日本では、『ニトリ』を思い浮かべていただければよいかと思います。

そして、あまり馴染みのない言葉が『プロポジションのシンプル化』でしょう。これを果たした企業の例をあげてみると、古くはMac、そしてipodやiphoneを世に送り出した『アップル』社、音楽聴き放題のアプリを開発した『Spotify』、検索エンジンの開発をした『Google』があげられます。

【Spotify】なぜ、有料化会員比率が高いのか!?

『プロポジションのシンプル化』を果たした企業の商品・サービスを見ていけば、プロポジションの意味がなんとなく理解していただけたと思いますが、これまでに世の中になかった価値ある商品やサービスを市場に送り込むことによって市場を独占するものです。

『価格のシンプル化』や『プロポジションのシンプル化』によってもたらされるものは、市場の独占すなわち『独り勝ち』です。ひとたび、競争優位の状態を作ることができれば、利益も増大し、企業価値も大きくなります。

著者のリチャード・コッチは、あなたのビジネスも『価格のシンプル化』または『プロポジションのシンプル化』のどちらかをめざさなければならないと説いています。

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